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4月から1年間猶予されていた中小企業に対する残業規制が始まります。新入社員を迎え入れ、人手不足解消による仕事量の分散を試みるも、OJT指導の負荷が高い実状があります。中小企業の約5割が1週間未満の集合研修を実施しており(HR総研2019新入社員研修実態調査)、集合研修実施後すぐにOJTに移行する傾向が強く出ています。
指導を任された社員が指導に時間を取られ、生産性が低下してしまうのは仕方がないと思われています。しかし、現場調査をしてみると顧客価値に繋がる業務の指導だけでなく、交通費の精算や会議室の予約方法など生産性に直結しない業務も個別指導で行われています。生産性に繋がる指導以外の投資時間は現場が負うべきではありません。
このような現状に対し、OJTによる現場の負担を軽減するポイントを3つにまとめています。
教育は、指導者と受講者側の立場により、求めるものが異なります。経験豊富なベテラン社員や指導者の声に注目しがちですが、新入社員として入社し、戦力化した社員の声を聞くことも大切です。時代の流れと共に価値観が変わっていくように、新入社員の性質も変わってきます。最近入社した若手社員に知識・スキルを身に着けるための苦労や工夫、OJTで良かった点や悪かった点、などをヒアリングすることで現場の課題や要望を洗い出すことが出来ます。指導者も同様に、教える際の工夫や苦労、どのような資料があれば良かったかなど、指導者目線の課題や要望も聞きましょう。
ヒアリング時のポイントは、事象や想いではなく、一歩踏み「何故」それが課題と考え、何が必要だと思っているのか引き出すことです。例えば、「見積作成が指導者により異なることで、どのような問題があるのか」という点を、ヒアリングを通して引き出すのが重要です。すると、「見積作成の説明が指導者によって異なるため、見積作成に最低限必要な情報が分からない。結果として見積作成に時間がかかる。」と、現場で発生している課題や、解決に繋がるヒントを得ることが出来ます。また、見積作成時に使用している資料などの実物を見て、業務のやり方のイメージが出来ると尚良いでしょう。
OJTの課題や要望を引き出したら、課題や要望が業務の生産性にどのように影響しているか整理し、解決策を検討します。その際に、すでにそのような資料・講座があるのかは加味せず、「どのような教育があれば課題・要望を解決し、理想へと近づけることが出来るのか」考えていきます。この解決策については、ヒアリング対象者からの意見がヒントになります。
先ほどの、「見積作成の説明が指導者によって異なるため、最低限、見積作成にどのような情報が必要なのか分からない。結果として、見積作成に時間がかかる。」という課題に対しては、「必須情報項目が記述された見積書フォーマット」や「見積業務手順書」を作成したら良いのではないか、といった議論が出来ればよいのです。
ポイント1、2を実施すると、あまりに多くの課題や要望、解決策が多数並んでしまう、ということはよくあります。必要な解決策を全て実現するのは困難です。そのためには、整理した課題や要望への解決策を関係者とディスカッションし、優先順位付けをします。例えば、優先順位付けする際の切り口としては、
などがあります。
元々考えていた解決策がディスカッションを通して作成すべき教材の内容が変化することもあります。例えば「見積業務手順書」は、お客様の要望によって見積手順が変わることが判明し、手順化が困難であるが、「見積業務の全体の流れ」は作成できる。見積業務の全体の流れが分かれば、お客様の要望をヒアリングする際のポイントや見通しが立てやすくなる、といったように、ディスカッションを通じて柔軟に対応していくことも大切です。
ここまでの話でいかに新入社員戦力早期化のためには
以上3つのポイントが重要だと説明しました。
現場にとって「今」必要な教材を考案するには、現場教育の実状を理解し、ディスカッションを通して柔軟に対応案を考えることが重要です。4月に新入社員が入社する前に社内で教材作成や受け入れ準備を万全にしていただき、現場で本来の業務に集中して頂くのにお役立ち出来ると幸いです。