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吉高由里子さん主演のドラマ「わたし、定時で帰ります。」の第五話は、主人公・東山結衣(吉高由里子)のチームがクライアントのランダー社から無茶な注文を受ける一方、チームのデザイナー、桜宮(清水くるみ)がセクハラを受けているのではないかという疑惑が起こり、東山がランダー社に抗議する話だ。
その中でも注目したのはランダー社の草加(田本清嵐)が、上司によるセクハラ行為を目の当たりにしながらも制止できず、その背景にパワハラの文化が垣間見えたところだ。パワハラは取引先や社内において余分な残業を生む根源になり得るが、その理由を探る。
吉高由里子さん主演のドラマ「わたし、定時で帰ります。」の第五話は、主人公・東山結衣(吉高由里子)のチームがクライアントのランダー社から無茶な注文を受ける一方、チームのデザイナー、桜宮(清水くるみ)が先方からセクハラを受けているのではないかという疑惑が起こり、東山がランダーに抗議する話だ。
その中でも注目したのはランダーの草加(田本清嵐)が、上司によるセクハラ行為を目の当たりにしながらも制止できず、その背景にパワハラを許容する文化が垣間見えたところ。
このパワハラは取引先や社内において余分な残業を生む根源になり得るが、その理由を考察したい。
ランダーの担当者は東山のチームが提案したデザイン案について、以前OKを出したにも関わらず急遽呼びつけて
「うちの社長が、これじゃあどうもピンとこないって言ってるんですよ。
そもそも方向性が違うんじゃないかってね。」
と伝える。それに対して東山は具体的な修正要望を聞こうとするが、結局それ以上の情報はもらえない。その上で「別案は明後日までに」という短納期でゴリ押しされてしまう。
このやり取りをよく観察すると、ランダーの担当者の言動からは
「自分は発注元で相手は下請け、つまり自分の立場が上なので相手が自分に逆らうことは許さない」
という意識が透けて見える。
そして、客観的には発注者として取引上の優位な立場を利用して相手に無理難題を押し付けているように見えるのでパワハラではないかと指摘されても仕方がない。
一方の取引先である東山のチームとしては仕事を失っては困るので押し付けられた無理難題を飲まざるを得ず、結果として残業を発生させる要因になってしまう。
これが「パワハラが取引先に残業を発生させる構図」だ。
(※作中では桜宮が先方との飲み会での話を基に素早く対応して残業は回避するが、今度はセクハラ問題に繋がってしまう)
次に、パワハラを許容する文化がランダー社内において残業を増やしてしまう可能性を指摘したい。
先述した東山とのやり取りについて、そもそもランダーの担当者は社長から「ピンとこない」と言われた際に、それをそのまま鵜呑みにせず「どのようなところがピンとこないのか具体的に教えてください。」などと真意を問うべきだったが、担当者はそれをしなかった。
いや、しなかったというよりできなかったのではないか。
それは「上位の役職者の言うことは絶対であり、意見することは許されない。
さらに、求められることを察して対応すべし」といった旧態依然とした文化が根強いことに起因するのではないか。
そして、こうした組織では精神論、根性論が横行し、パワハラが蔓延している可能性が高く、部下が上司から方向性さえ分からないような曖昧過ぎる指示を受けた際に真意を確認するができず、部下は完全に手探りで仕事を進めることになる。
そしてアウトプットを上司に見せると今度は「ピンとこない」などと言って突き返され、それが延々と続く。
これはもはや目隠しをして輪投げをしているようなもので非効率この上なく、それこそ上司が「偶然、ピンとくる」まで残業してでも根性で続けることになってしまう。
ランダー社は結局、内部告発によりパワハラや取引先への未払いなどのブラックな実態が週刊誌に取り上げられて窮地に陥ることになるが、告発がなかったとしてもパワハラによる生産性の低下により早晩、行き詰まることになっただろう。
最後に、東山の台詞で締め括りたい。
「お互い助け合ったり認め合ったりしてそこからでしか良い仕事が生まれないんじゃないですか。」
今後、ランダー社がこの言葉を受け止めて変わってくれることを期待したい。