BLOG
BLOG
吉高由里子さん主演のドラマ「わたし、定時で帰ります。」の第四話は、退勤登録後も会社に残ってサービス残業を続け、あげくそのまま寝泊まりして毎日を過ごすフロントエンドエンジニア、吾妻徹(柄本時生)に焦点が当てられている。
吾妻はエンジニアとしてのスキルは高く質の高いサイト構築を行うが、一方で勤務時間内に仕事を終わらせようとする意識が乏しく、勤務時間内外を問わずダラダラと仕事をする傾向がある。
定時までに集中して仕事をきっちり終える東山結衣(吉高由里子)とは対称的だ。
部長にサービス残業を咎められた吾妻は「誰にも迷惑かけてない」と話すが、本当にそうなのだろうか。
サービス残業は作中でも指摘があるとおり労働基準法に違反する行為ではあるが、それとは別に定時で終えるべき仕事を長時間の残業でこなすこと自体がチーム全体の仕事に対して3つの弊害を持つ。
それは「仕事の渋滞」、「仕事の手戻り」、「仕事の欠陥」だ。
定時で終えるべき仕事を長時間の残業でこなしている場合、まず想定される弊害は「仕事の渋滞」だ。
チームで連携して働いている場合、通常は他メンバーの作業結果としての情報や資料などをインプットとして受け取り、それをもとに作業を行い、そのアウトプットをまた別のメンバーに渡すことでチーム全体としての仕事が進んでいく。
ところがインプットを受け取った後の作業が遅く、アウトプットを出すのが後続のメンバーの退社後になってしまうとその仕事は翌朝になるまで滞ってしまい、チーム全体として仕事を進める上でボトルネックになってしまい、文字通り「仕事の渋滞」を生んでしまう。
仕事を進めていると通常、顧客や上司、チームのメンバー等に確認しなければならないことが都度発生する。
ところが自分だけが遅くまで残業しているとタイムリーに確認することができない。
かといって翌朝まで待てば前述した「仕事の渋滞」をさらに悪化させてしまうので一旦、一か八か「仮の案」で作業を進めることになる。
その場合、もしも後から確認した際に「仮の案」が先方や周りに認められなかった場合には作業の手戻りが発生してしまい、その時点から作業をやり直さなくてはならなくなってしまう。
これは大いなる時間と労力の無駄でしかない。
これまでに述べた2点の帰結として、恒常的な長時間残業によって仕事のスケジュールは徐々に遅れていく。
そして気が付くと元々確保してあったはずのバッファを使い果たしてしまい、納期まで全く余裕がない状態に陥ってしまう。
そして余裕がなくなった当人および社内の仲間は確実に焦りだす。
焦りがミスを誘発することは言うまでもないが、それに加えて本来余裕があれば仲間や上司が入念にアウトプットのレビューを行うはずだったのが「納期優先」の元、おざなりになってしまう。
こうしてミスが発生した上に見過ごされ、顧客に迷惑をかけるような事態を招くリスクが上がってしまう。
本稿では「チームで協力して仕事を進める部署において、一部のメンバーが定時に終えるべき仕事をダラダラやって長時間残業が慢性化している」ことを想定した場合にチーム全体に与える3つの弊害について述べた。
作中では当の吾妻が仕事の効率化術を東山から教わって実践に移していく様子が描写されているが、今後の彼の働き方にも注目したいところだ。